2012年12月25日火曜日

少エネ

   皇居の二重橋などが年末年始にライトアップされるそうです。消費電力の少ないLEDを使うため電気代はわずか8,000円ほどで済むとか。クリスマスシーズン・年末を迎え、どこもかしこも競うようにライトアップ・電飾が行われていますが、しかしこれだけ原発問題が騒がれ、16万人もの避難者がおられる中、果たして金額・商戦だけで済ませられる問題だろうかと思います。どなたかが「ロンドンの夜の明るさは東京の半分以下だ」と云っておられましたが、いまの日本は電気(エネルギー)を使い過ぎていないでしょうか。人工衛星から見ると夜中でも日本が地図そのままに浮かび上がると云います。おそらく高度成長期前までなら、どこに日本があるか分からない暗闇だったのではないでしょうか。本来、それが当たり前なのであって、夜が暗ければ誰も出歩いたりせず、家族は一緒に固まって過ごし、早く寝るのではないでしょうか。しかしいまは夜が昼のように明るく、大人も子供も夜遅くまで出歩き、家族はバラバラ、危険も増え、監視カメラが見張る世の中になっています。先日、山の峠にある店でそばを食べました。道路に積雪のある寒い日でしたが店にはエアコンがなく、大きい火鉢1つと小さい火鉢2つがあるのみで、そばの来るのを身を縮めて待ちました。お陰で温かいそばがとても有難く、おいしく、身体も温まりました。考えてみればほんの数十年前まで、日本の冬の過ごし方はこんな風ではなかったでしょうか。
  いま日本でエネルギー問題を語るとき、誰もが現状の生活を黙認したまま原発を止めるのは難しいとか、京都議定書を守るのは難しいとか議論しています。しかしいま地球上には70億の人々が住んでおり、これらの人々が先進国、特にアメリカ人と同じ生活スタイルをとると、地球5個分の資源が必要になると云います。実際、中国、インドなど人口大国が経済成長することで、資源の枯渇が現実味を増してきています。尖閣諸島に中国が異常なまでに固執するのも当然の話しです。そんな中で先進国日本が率先してなすべきことは、「省エネ」ではなく「少エネ」ではないでしょうか。早い話し、夜の暗闇を取り戻すことも一つの方法です。地球上のほとんどの国ではそれが当たり前であり、それだけでエネルギー問題のかなりは解決し、家族の絆、人の温もりも取り戻せるのではないでしょうか。

2012年12月19日水曜日

自民 圧勝?

  今回の衆議院選ほど混迷する選挙はなかったのではないでしょうか。日本の命運がかかる多くの難題に、12もの政党が乱立してテンデンバラバラの政策を主張し、訳のわからぬ混戦の中で自民党が勝ち残った、そんな消去法による圧勝だったような気がします。
  自民党は長期政権を担った党であり安心感はあります。しかし安部総裁がデフレ脱却のため、日銀に輪転機でお札をドンドン刷らせるとか、大型公共事業を復活させるとか云っておられるのを聞くと、大丈夫かなと心配になります。お札を刷ってインフレに導くというのは、理屈として通るかも知れません。しかし経済は生き物であり、物価だけが上昇し所得が伴わなかったらどうなるのでしょう。また、公共事業を積極的に進めるという裏には、消費税増税前に景気を良くしておきたい狙いもあるのでしょうが、借金をして公共投資を行う場合、税収弾性値という数値(公共投資によるGDP伸び率に対する税収伸び率の比)が12以上ないと元が取れないと云います。インフラが不十分であった高度成長期に比べ、いまはこれがせいぜい1~2と云われる中、財政赤字を増やすだけになりかねません。我々が風邪をひくと高熱が出ます。これは身体が細菌やウイルスへの免疫力を高めるための発熱なので、解熱剤などで熱を下げるのは間違っていると云います。いま我々が経験するデフレスパイラルも、実はいまの経済構造の歪みに対し免疫力が働いているのかも知れません。そして全国のアチコチに新たな経済的仕組み、アイディアが生まれようとしているのかも知れません。そうした自然治癒的発想こそがデフレ脱却の救済策であり、それを新たな経済的基盤に育てていくのが政治の役割りではないかと思います。ただ、小泉進次郎議員は「財政赤字、原発、社会保障等の問題は自民党の責任である」とはっきり云っておられ、彼ら若手に大いに期待したいところです。


年金・医療・介護の費用推計
それにしても今の日本の財政状況は深刻であり、先日のテレビでは大学生達が年金制度に不満と不安を述べ、遠慮がちに「高齢者にもそれなりの負担をしてほしい」と云っていました。1960年当時11人ほどの現役世代で1人の高齢者を支えていたのが、いまは2.4人が1人を支えていると云います。完全失業率も40~60代は4%台であるのに対し、30代は6%、20代は8%と若者ほど厳しい状況にあると云います。彼らが将来に不安を抱くのも当然であり、逆に若者の雇用を皆で支える仕組みが作れないものかと思ったりします。我々が進める「エコの環」では元気な高齢者による運営を考えていますが、そうした中に若者を加えれば、高齢者による若者を支える仕組みが作れるかも知れません。

2012年12月12日水曜日

ノーベル賞


  山中教授がノーベル賞を受賞されました。日本国民としてとても誇らしく、嬉しいニュースでした。しかし当の山中教授は「ノーベル賞は過去形であり、これからの研究を大切にしたい」と、早くも今後の研究に意欲を燃やしておられるとか。まだ50才という若さからして当然とも云えますが、再生医療の競争は熾烈で、アメリカはiPS再生医療ですでに日本をかなりリードしているとも云われ、教授もオチオチしておられないのでしょう。iPS細胞は不治の病に苦しむ人たちにとっては大きな朗報であり、日本の産業が疲弊するなか、新たな経済成長分野として大きな期待もかかります。しかし一方でそれは遺伝子組み換え食物と同様、「神の領域」に足を踏み入れる技術でもあり、熾烈な競争が取り返しのつかない方向に進んでいかないか、心配もされます。
  自然界を眺め感心させられるのは、すべてが循環して元の状態に戻り、ゴミが発生しないことです。そして太陽以外のエネルギーを必要としないことです。残念ながら人間が作る人工物は生産時に太陽以外のエネルギーを大量に使用し、しかもそのままでは元の原料に循環されず、古くなればゴミになります。自然にならって循環させようとリサイクルしても、それに多くのエネルギーを必要とするばかりか元の状態には戻せず、劣化物に戻すのが精一杯です。人間が自然界から学びなすべきことは、自然の力、恵みをできるだけ天然自然のまま利用することで、自然界に存在しない形にまで変形加工して利用すること(不自然/非自然)は、恐れ多いことであることを知るべきでしょう。
  惣菜店がコロッケを作って販売しようとする場合、自然にあるものを使ってまともに作れば、どう頑張っても1個130円になるそうです。しかしこれが食品添加物のプロにかかると1個20円で作れるそうです。粗悪な材料に結着材、乳化剤、肉エキス、うま味調味料など、自然界にない20種類以上の添加物を使えば、子供の喜ぶコロッケが作れると云います。人間の技術はここまで来ているのです。しかしこんなものを食べ続けたら一体どうなるのでしょうか。昔は四百四病と云われた病気が、いまは数万種もの原因不明の難病、奇病があると云われ、それは単に医療診断の進歩だけでは説明できないように思われます。流産率、死産率、催奇形率も著しく増大していると云います。こうした問題(根本原因はハッキリしませんが)を放置したまま、医療技術だけ進歩しても本末転倒のような気がします。いずれにしても食べ物が我々の身体の血となり肉となることだけはハッキリしており、食べ物は我々が生きていくうえで一番根源的、厳粛なものであるハズです。単に「うまければよい」、「安ければよい」といった次元のものではなく、もっと真面目に考えるべき問題です。「エコの環」を通して食の問題を真剣に考えていきたいと思っています。

2012年12月3日月曜日

未来へ一票

  嘉田由紀子滋賀県知事らが結成した「日本未来の党」が、各地の選挙管理委員会に思わぬ混乱を与えているそうです。政党名をイメージさせないよう啓発用語から「国民」とか「生活」といった言葉を外し、衆議院選挙の啓発ポスターや投票用紙を作ったはよいが、啓発用語に多くの選管が「未来」を選んでいたためだとか。倉敷市では「未来へ一票」と印刷された投票所の入場券22万枚を、90万円余をかけ刷り直すというから大変です。国家レベルになるとわずかな狂いが大きな波紋となることがよく分かります。
食物連鎖
ところで「太陽の党」と合併後「日本維新の会」の原発への対応に後退が見られ、日本の原発をどうするのか国民的選択肢が減るなか、「日本未来の党」が原発問題を最大争点に掲げ、登場したことは大変よかったと個人的には思います。地球環境、人類の存亡を考えるとき、いまやこれ以上人間が作り出した危険な化学物質を、垂れ流したり放置したりすることは許されず、議論を深めるべきだと考えるからです。
  日本では農薬のDDTは1971年に使用が禁止されました。しかし胎児のへその緒からはそのDDTが検出されるそうです。畑の土にまだ残留していることが考えられ、また、太平洋の表層水にDDTは0.00014μg/kgほどしか含まれませんが、太平洋の動物プランクトンには1.7μg/kg(1万倍)、イワシには43μg/kg(30万倍)、スジイルカには5,200μg/kg(370万倍)が含まれると云われ、食物連鎖によるDDTの生物濃縮が、回りまわって胎児を汚染していることも考えられます。今回の原発事故では大量の放射能汚染水が海に流れ、森林には膨大な量の灰が残っています。今後こうした物質が食物連鎖によってどのような影響を及ぼしてくるかは見当もつきません。かといって「日本未来の党」が云うように10年で原発をなくすと云っても、しっかりしたロードマップを持ち、よほど強い決意でそれを貫く覚悟がない限り、単なる情緒論に終わり国家滅亡の危機だけが残る結果になりかねません。国家レベルになると波及する影響も計り知れなく大きくなるからです。日本国民として節電・停電覚悟の大きな決意・決断が必要です。

2012年12月1日土曜日

咀嚼

  先日のテレビで最近の若者・子供たちは歯並びが悪く、外国では学校の成績に影響するため、低学年の内に歯の矯正をする子供がすごく多いと云っていました。確かに最近の若者・子供たちは、ファストフード・レトルト食品・インスタント食品など、柔らかくてよく噛まなくても食べられるものを食べつけているため、アゴが発達せず細くなり、その影響で歯並びが悪くなっているようです。歯並びが悪いと噛み合わせが悪くなり、噛む力も弱くなります。すると噛むことによる脳への刺激が弱くなり、知能の発達にも影響するようです。柔らかい食べ物で育てたネズミと硬い食べ物で育てたネズミでは、知能の発達に大きな差が現れると云います。よく噛むことは老人のボケ封じにもなるそうです。
  噛むということは動物にとって、食べ物を摂取するのに欠かせない行為です。人間では1.1~1.5リットルもの唾液が噛めば噛むほど出て、消化を助けてくれると云います。唾液には病気を治す働きや殺菌・解毒作用もあり、それによく噛むと耳下腺からインシュリンの分泌が促され、糖尿病の予防にもなると云います。また、少量の食べ物で満腹感が得られ、健康体を維持しやすくなります。つまり噛むことは生きるための基本的機能と云えるようです。しかしいまは食べ物がどんどん柔らかくなり、それに噛まなくてもよいサプリメントの類がどんどん増え、噛むことがおろそかになっています。人間の退化が心配されます。
  食べ物を噛み砕くことを「咀嚼」と云います。咀嚼には「物事や文章の意味をよく考え味わう」という意味もあるように、食べ物の栄養分をよく吸収するには、よく噛んで食べ物本来の味をジックリ味わうことが大切と云えます。甘いまんじゅうはよく噛むと途中でイヤになり、とても食べられないと云います。それは甘い物は本来健康な食生活になじまないことを意味します。食事はじっくりと時間をかけ、砂糖などで味付けしてない歯応えのあるものを、よく噛んで食べるに限ります。