甘党、辛党という言葉があります。甘いものとお酒のどちらを好むかを聞くときに使われます。ピリッとしたアルコール味を好む人は概して辛いものが好きなことから、お酒好きな人を辛党と呼ぶようです。わたくし自身は両刀遣いで、かつては甘い菓子もよく食べ、コーヒーなどは砂糖を入れるものとして飲んでいました。しかし年齢とともに虫歯がアチコチにでき、あるときあんこ入りのまんじゅうを食べると虫歯に激痛が走り、やはり甘いものは歯に悪いのだと気づき、以後、歯のために甘いもの(砂糖)は極力控えてきました。しかし砂糖は単に歯に悪いだけでなく万病の元であると、最近、「砂糖の害」を訴える記事をよく目にします。糖尿病を始め、アトピー、精神異常、痴ほう、肝臓・心臓障害、便秘等々、まさにほとんどの現代型疾患との関わりがあるようで、昔に比べると砂糖にあふれたいまの世の中、害が叫ばれても致し方ない気もします。
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人間を惑わす砂糖 |
学生のころわたくしは一人で山登りに出かけ、途中で身体がへばり、足が一歩も前へ踏み出せない状態になったことがあります。どうしたのだろうと最初はビックリしましたが、「これはシャリバテだ」と気が付き、持っていた甘い菓子を食べたところ、それこそ何ごともなかったかのように、すぐに軽快に歩けるようになったことを覚えています。われわれは脳を始め、身体を動かすエネルギー源にブドウ糖(グルコース)を使用しますが、砂糖はブドウ糖と果糖が結びついた簡単な構造のため、食べるとすぐに腸から吸収されて血中に移行するため、シャリバテしたようなときには甘いものが有効なのでしょう。しかしブドウ糖はご飯などの糖質(でんぷん)から得られるため、砂糖自体は決して必須の食べ物ではありません。しかも食品の糖質の吸収速度を表すのにブドウ糖(100)を基準にしたGI値というのがあり、これによれば食パンは91、白米は81、玄米は54ですが、値の大きいものほど早く分解吸収され、血糖値を上げるスピードが速い反面、消耗も速いと云われます。つまりGI値の小さいものの方がゆっくり血糖値を上げ、腹持ちが良いのに対し、砂糖などはそれこそ「ゲリラ豪雨」的に血糖値を上げるため、栄養剤としては決して好ましくないわけです。しかし甘いものには幸福感を与えてくれる面があり、三時のおやつとか食後のデザートなど、一時の至福を得るのに欠かせないのも事実です。したがって砂糖の利用が茶菓子など限定的であればよいのですが、いまはほとんどの食品に砂糖が使用され、しかも料理番組などでも砂糖は使うのが当たり前のようにして使用され、素人目にも「料理のプロなら、なぜ食材本来の甘みを活かす調理法を教えないのだろう」と、不思議に思うことがあります。
生ごみ堆肥で育てたカボチャとかジャガイモなどを食べると、「野菜ってこんなに甘いのだ」と感じることが多く、料理に砂糖を使う理由が分からないからです。身体にとって必須栄養素である塩分には「減塩」が叫ばれるのに対し、必須でない砂糖にはなぜ「減糖」が叫ばれないのでしょう?
ちなみにわが家ではコーヒーを飲むとき、自然塩を一つまみ入れて飲みます。味が引き締まってとてもおいしく、いまでは砂糖など入れる気になりません。
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