2014年1月19日日曜日

毒物混入事件

 食品の偽装問題が落ち着いたと思ったら、「アクリフーズ」という会社の冷凍食品から、農薬の「マラチオン」が検出されるという大問題が発生しました。このニュースを知ったとき真っ先に思い浮かんだのが、6年ほど前に起きた中国の毒ギョーザ事件のことです。当時、日中双方が協力して調査が進められましたが、中国側から「中国で入った可能性は低い」として日本側を疑う見解が示されたときは、「そんなこと100%ありえない」と笑っておられたことが、今回の事件で「エ! あり得るの!」という、信じがたい現実に直面したからです。それにしても今回も会社側の対応には、食品会社としての責任を一体どう考えているのか、疑問を感じざるを得ませんでした。消費者の苦情があってから公表までに1ヶ月半もかかったことについて、「まさか農薬が入っているとは想像できず、究明に時間がかかった」と釈明されても、子供や老人も食べる食品だけに、その間にもし深刻な事態に発展していたらどうするつもりだったのかと云いたくなります。また、最初に「子供が一度に60個のコロッケを食べないと、毒性は発症しない」と云っておきながら、厚労省の指摘を受け、「8分の1個食べると吐き気など健康被害を起こす可能性がある」と訂正するなど、農薬の知識があろうとなかろうと、消費者の健康への影響をどう考えているのかと不信感を覚えます。多分前者は致死量の基準値を、後者は急性中毒の基準値を判断材料にしていると思いますが、「死ななきゃいいのか」と云いたくなります。慢性中毒になることも考えられ、これなどはほとんど基準値が分かっておらず、そうしたことも考えると今回の事件はとても怖い話しと云えます。
警察による立ち入り調査

 ところでいまや冷凍食品などインスタント食品は、私たちの日常生活に欠かせないモノになっています。私が最初にインスタント食品に接したのは、確か「キンケイカレー」とかいう粉末即席カレーで、登山に出かけたときに食べたのですが、お湯をかけると赤い粒つぶが大きく膨張してニンジンの姿に変わるのにビックリさせられ、その便利さに驚いたものです。多分真空乾燥されたもので、食品添加物など入っていなかったと思います。その後に開発された冷凍食品も、「急速冷凍することで食品の鮮度を保ち、長期保存を可能にしたもの」で、当初は添加物などの必要がない便利な加工食品だったと思います。しかしこの冷凍食品もいまや激しいコストダウン競争に巻き込まれ、安い原料にシフトするなかで、ハンバーグやメンチカツなどの肉質を落とし、それと分からないように食品添加物で食味や色、食感を与える技術が進み、そもそもの発想とはまったく異なる製品になってしまっているようです。また、即食べられるものとして出来合いの食品があります。コンビニのお弁当やおにぎりなどがそうですが、これらは裏側に「保存料不使用」のシールが貼ってあったりします。しかしそれは指定された添加物を使っていないというだけで、その役目をする代わりの添加物(pH調整剤、グリシン、酢酸ナトリウムなど)が大量に使われているそうです。しかもコンビニは車で来るお客が多いため、車中に置き忘れた弁当で食中毒を起こされるのが怖いため、業界独自の安全基準「30°C、48時間」というものがあり、つまり真夏の30°Cのなか、二日間放置しておいても腐らずに食べられるという基準で、こんなものが身体に良いわけがありません。日本はインスタントラーメンの開発で食品添加物の時代に突入したと云われますが、食品は健康に直結するものであり、「安い」、「手軽」、「見栄え」だけで選ぶべきものではなく、サプリメントも含め、最近の食品の傾向に対し、「食育」の大切さを痛感します。

滝野 清;「食品添加物と私」

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