2015年2月12日木曜日

”ピンと活き生き” 宮津ライフ

 私たちは生ごみの循環システム「エコの環」を、高齢者ビジネスに育てたいと頑張っています。日本の高齢者問題は非常に深刻で、2025年にはいわゆる団塊の世代が75歳を超えるようになり、そうなると要介護者・ヘルパーの急増(福祉需要の爆発)が大問題になると予想され、高齢者がよほどしっかり自助努力をして生きていかないと、日本は破たんしかねない状況にあるからです。* こうした考えから宮津市の市民組織「みやづ環の地域づくり推進ネットワーク」が行う、「”ピンと活き生き”宮津ライフ」にも部会長として協力しています。65歳以上の高齢者を対象とするその運動では、
 ①自助・共助で、ピンと元気に長生きする暮らし方
 ②旬の地元野菜を多く食べ、適度な運動による健康的な暮らし方
 ③エネルギーや資源を大切にした、持続可能な「少エネ」、「少資源」の暮らし方
 ④地元を元気に明るくする暮らし方
の4つの暮らし方を提案しています。①は先般閣議決定された来年度予算を見ても分かるように、総額96.3兆円の内、社会保障費(31.5兆円)と国債の償還・利払い(23.4兆円)だけで6割近くを占め、しかもこの2つで税収の54.5兆円を食ってしまいます。今後の高齢者の急増、生産世代の減少を考えると財政は破たんしかねず、私たち高齢者にもかなりの覚悟が求められるからです。②は健康に生きるための食生活の改善と、運動による体力の維持をお願いしています。③は地球温暖化による世界的な異常気象はもはや疑いもなく、エネルギーや資源の「省」ではなく「少」への協力をお願いし、いまごみとして捨てているものの資源化を積極的に進めていきたいと考えています。私たちが活用を進めている「生ごみ」も、燃やせば24円/kgの費用がかかりますが、野菜づくりに利用すれば240円/kgの付加価値が生まれるからです。④は高齢者が現役時代に身に付けた知識・経験・技術は地域の貴重な財産であり、それらを有効に活用して地域を元気にしてもらおうとするものです。そのまま活かすことはできないにしても、いろいろな活動面での応用は可能であり、地域の大きな力になることが期待されます。ただ先日、社会福祉協議会の方と話しをしていると、いろんな催しものに女性は積極的に参加してくれるが、男性はなかなか出てこず、引きこもりがちであるとのことでした。男性にはそれなりのプライドもあり、気持ちが分からないこともないのですが、「エコの環」を例に考えると、プチビジネス(小遣い稼ぎ程度のビジネス)としてなら男性を引っ張り出すことも可能かもしれず、今後いろんなプチビズを作っていきたいと考えています。
 ”ピンと活き生き”宮津ライフでは、以上の4つの暮らし方に対し40項目ほどの行動課目を掲げ、毎月それらが実施できているかを採点し、3か月経ったところで合計点を出し、20点につき1回の抽選を行って、当選者に地元の産品が当たる仕組みにしています。第1回の抽選会は昨年の12月に実施しましたが、残念ながら応募者はわずかに43人でした。私たちの周知の仕方に問題があった訳ですが、いろいろ聞くと20点に達しなかった人も結構いたようです。お陰で応募者には全員賞品が当たり、中には4つほど当てた人もいて応募者には大変喜んでもらいました。第2回目の運動はこの2月からスタートし、5月に抽選会を予定していますが、こうした活動により高齢者がピンと元気になり、積極的に地域活動に参加して生きがいを見出してくれることを願っています。

* 藻谷浩介:デフレの正体、角川ONEテーマ21、2011

2015年1月31日土曜日

Facebookページの公開

 昨年下半期から京都府のソーシャル・ビジネスプログラムの支援を受け、「エコの環」事業の自立をめざし、その拡大に努めています。その一環として始めた京都府との協働事業「ちーたび」を広く宣伝したり、また、「エコの環」野菜の販路を拡大するのに、やはりフェイスブックの力が必要かとフェイスブックページを公開しました。
 実はフェイスブックは数年前、長男が自分の家族の状況を伝えるのに利用し始めたとき、わが家も個人アカウントを開いたのですが、続々と入ってくる「この人知り合いではありませんか?」というメール案内がうっとうしく、以後フェイスブックからのメールはすべて消去し、フェイスブックも開いたことがなかったのでした。私も友達は多い方が良いとは思いますが、メール案内された人がたとえ知っている人であったとしても、あえてその人と友達関係になり、その人の近況を知りたいとまでは思いませんし、私自身もNPO活動の内容ならともかく、個人の近況を人に伝えたいとは思わなかったからです。しかし多くの店やNPOがその宣伝にフェイスブックを利用しているのを知るにつけ、やはりフェイスブックで「ブルーシー阿蘇」の活動を伝えていくことも大切かと考えるに至りました。
フェイスブックに企業や団体の情報発信用の「ページアカウント」があるのを知り、今年の正月、長男家族が帰ってきたのを幸い、長男とページアカウントの作成にかかりました。しかし作業を進めていくとまず基本情報の入力が求められ、その中にどういったことを入力するのか分からないことがあったり、入力しても受け付けられなかったりして、やはり手引きの本がないとダメかと、正月明け早々に本屋に出かけ、「かんたん・・・・」という本を買ってきました。しかしその本を見ても説明が不十分で、基本情報の入力にはずい分てこずりました。さらに作業を進めていくと本には書いてないことがいろいろ多く発生し、散々苦労させられました。たとえば会社の「大事な出来事」では、タイトルや日時、詳細、写真を入力後「保存する」を押すと、ボタンの横で小さくチカチカ光るものが走るのですが、ときにどういうわけかチカチカしないときがあり、それに気づかずどんどん作業を進め、翌日ページを開くと前日入力したはずの画面が全然保存されておらず、パニックになることが何度もありました。また保存されるときもチカチカ光って入力した画面にすぐ切り替わるときと、チカチカしても旧画面のままのときがあり、そのとき何度「保存する」を押しても切り替わらないときは、どうしてよいか分からず頭に来ることも再々でした(もっともその後、そうしたときは一度フェイスブックの画面を閉じ、新たに開けば新画面に切り替わっていることを知りましたが)。また、一度登録した何枚かの写真の一つを除去しようとしてもそれが不可能であったり、本には記載されていないことで散々苦労し、「何がかんたん・・・・か」と何度も本に当り散らしたりしました。そういえばいまから15~16年前、はじめて電子メールを利用しようとした時もなかなかうまくいかず、娘から「誰もが簡単に利用し始めているのに、何をそんなにモタモタしているの?」と笑われたり、ブログを開設したときも散々苦労したことを思うと、何を始めるにも不器用にできているようです。とはいえ何とかフェイスブックページを公開しましたので、一度覗いてみて下さい。
https://www.facebook.com/bluesea.aso


2015年1月23日金曜日

地方の時代

 前回「里山自然主義」という本の内容に触れました。その本を買ったとき、横に積んであった「地方消滅」というショッキングなタイトルの本も目に留まり、同時に買って正月休みに続けて読んでみました。岩手県知事、総務大臣を歴任され、現在「日本創生会議」の座長である増田寛也氏が書かれた本で、生産年齢人口(つづき)でも触れましたが、昨年5月頃にマスコミで大きく取り上げられた日本創生会議の試算内容を記した本です。
 本によるといま日本では、出生率の高い地方から日本一出生率の低い東京(1.13と際立って低い)への人口の一極集中が進み、それにより人口の再生産を担う「20~39歳の若年女性」の流出が進み、このままではまるで宇宙空間で多くの星がブラックホールに吸い寄せられて消滅していくように、日本の人口も東京に吸い寄せられて人口減少が加速化する恐れがあると云います。日本のこうした「極点社会」化(日本全体の人口が大都市圏に凝集する現象)は、下図からも分かるように先進諸外国の中でも際立っていて、そんな中で直下型地震でも起きたらまさに日本は壊滅してしまう訳で、増田氏は地方の中核都市に「ダム機能」を持たせ、人口の流出をそこで食い止め、その上で大都市から若者を「呼び戻す機能」、「呼び込む機能」の強化を図るべきだと提案されています。
 
私の住む宮津市も人口の減少に歯止めがかからず、市といいながら現在は2万人を切る有様です。私の組でも私が引っ越してきたころは13軒あり、組長を引き受けるのは10年に一度くらいの頻度でしたが、それが知らぬ間に歯が抜けるように欠けていき、今では7軒しかありません。しかも組長の定年は70歳なので(私は一昨年71歳で引き受けましたが)、いまは組長になる資格者は3人しかおらず、それもあと数年で1人になってしまいます。そこで今年から隣の組と合併することになりましたが、しかしそれもいつまで持つか分かりません。この間に地元では国鉄が第三セクターのKTR(北近畿タンゴ鉄道)に変わり、診療所が無くなり、日通・信用金庫・農協の支店が無くなり、商店街もほとんどが店を閉めてしまいました。つまり車が運転できれば良いのですが、そうでないと今でも「生活難民」に陥る危険性があり、人口問題は切実といえます。
 一方、宮津市でも「その美しい自然に引かれた」といって、東京や関西圏から移り住んで来られた方々を結構見かけます。また、大学を出て企業に勤めた後、Uターンして帰ってこられた方たちも結構います。あるNPO法人の調査によるとここ数年、どの企業も欲しがるような優秀な人材が平気で会社を辞め、地方に移り住む現象がアチコチで起き始めていると云います。また、起業を考える若者の5人に1人が農業や漁業に挑戦したいと考えていて、物質的豊かさに満足しない若者が増えてきているのだそうです。案外これからは「地方の時代」なのかも知れません。私たち地方に住む者が魅力ある生き方・暮らし方を示せれば、地方に人を「呼び戻す」、「呼び込む」時代になったのかも知れません。「エコの環」づくり、「ピンと活き生き宮津ライフ」にやりがいが出てきました。

地方消滅;増田寛也、中央公論新社、2014




 

2015年1月10日土曜日

里山資本主義

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 正月休みで帰ってきた長男がスマホである写真を見せてくれました。そこには食事をする男性が写っていました。長男によると昨年出張で東京のホテルに泊まったとき、バイキング形式の朝食に行くと中国人観光客で一杯だったそうです。しかし彼らのマナーがあまりにもひどく、頭にきてある男性の食事中の写真をこれ見よがしに正面から撮り、自分はコーヒーだけ持って部屋に引き返したと云います。云われてみれば写真の男性は山盛りの皿に口を付けて食べています。長男が語るマナーの悪さに思わず私たちも顔をしかめましたが、しかし話しを聞きながら私自身は1970年頃のある新聞記事を思い出していました。当時、日本は海外旅行ブームが始まったころで、海外に出かけた多くの女性がフランス、イタリアなどの有名ブランド店に押しかけて買いあさり、ある店でそのマナーの悪さに腹を立てた店員が品物を床に投げると、それに女性たちがワッと群がったという記事です。「衣食足りて礼節を知る」といいますが、当時の日本人はまだみな「ウサギ小屋」に住んでいて、礼節をわきまえるだけのゆとりがなかったのだと思います。そんな私たちにいまの中国人を笑う資格はないわけで、むしろ中国人が礼節をわきまえるようになるころには、地球上のエネルギー、資源が無くなってしまっているのではないか、それが心配されます。いま地球上には70億の人間が住んでいて、みなが大量生産、大量消費のアメリカ型生活を望んでいます。しかし全員がアメリカ人並みの生活をすると「地球が5個必要」と云われ、地球資源の枯渇は決して遠い将来の話しではなく、「キナ臭い」問題の発生が心配されるからです。だから私たち先進国と云われる国ほど持続する社会を率先して模索し、始めていく必要がありますが、昨年の大みそか、たまたま立ち寄った書店で平積みされた書籍の中に、「里山資本主義」という本が目に留まりました。手に取って長文の「はじめに」を読むとなかなか面白く、早速購入して正月休みに読んでみました。
 本のタイトル「里山資本主義」という言葉ですが、いま先進国から後進国まで、世界がドップリ浸かっている「アメリカ型資本主義」(エネルギー、資源をじゃんじゃん使って物を大量に生産し、それを大量に消費するマッチョでやくざな経済)に対し、田舎でいままで価値がないと見捨てられてきた資源に新たな価値を見出いだしたり、あるいは田舎で人間らしい生き方を取り戻そうとしたことで動き始めた、全く新しい「かたぎの経済」を意味しているそうです。そしてこうした経済が日本の過疎地で、そこの高齢者、あるいは都会生活に見切りをつけ移住してきた若者たちにより、じわじわと確実に広がっているというのです。例えば林業で発生する「木くず」、従来は産業廃棄物でしかなかったものをエネルギー源として生かすことで、岡山県真庭市は林業の再生とバイオマスの町として生まれ変わったと云います。同様のことを国家レベルで実施し始めたのがオーストリアで、林業のバイオマスで脱化石燃料、脱原発を強力に進め、EU加盟国最低の失業率、一人当たりの名目GDP世界11位(日本は17位)を実現しているそうです。その他詳しい内容は本に譲りますが、その中で紹介されている広島県庄原市の高齢者福祉施設の取り組み、つまり地域の高齢者が生産する農産物を施設が食材として購入し、そこで出た生ごみは肥料にして高齢農民に還元するという内容は、まさに私たちが行っている「エコの環」そのものであり、その他金銭換算できない価値の増殖として例示されている、高齢者による高齢者の介護、花壇を作る老人会、小学生の通学時の見守り隊、幼稚園・小学校で遊びを教えるおじいさんなどは、まさに”ピンと活き生き”宮津ライフで活発化しようとしている内容です。新年早々、私たちの取り組みが決して間違っていないと励まされた思いで、非常にうれしく感じた次第です。

里山資本主義;藻谷浩介、NHK広島取材班、角川ONEテーマ21、2014






2014年12月25日木曜日

1年を振り返って

 先の選挙は自公の圧勝に終わりました。予想通りとはいえ、ほとんど何も変わらない選挙結果に、何のための選挙だったのかと複雑な思いを抱いたのは、私だけではないでしょう。私たち高齢者にすると年金は大きく減らされる、介護保険料はビックリするくらい増える、医療保険料、消費税、物価も上がるといった状況のなか、一体この先どうなるのだろうといった大きな不安があります。しかもあと10年もすると団塊世代が後期高齢者の仲間入りをすると聞くと、それを支える生産世代は大丈夫か、日本は沈没しないかと本当に心配になります。しかし自公も野党もその辺のロードマップ、対策を全く示さず、安倍首相も「この道しかない」とアベノミクスだけを強調し、「景気回復だ」、「賃金アップだ」と訴えましたが、年寄りばかりの社会ではかつての高度成長は望んでも無理です。国民の多くもアベノミクスに疑問、不安を感じても、ではどうしたらよいのかの回答(入れる政党)が見つからず、「分からん。飲も、飲もう!」と投票場に行かず、飲みに行ってしまったような気がします。
 ところでかつては定年退職を迎えた高齢者は、10年も余生を楽しめば皆亡くなったのです。しかしいまは20年以上も元気に生きるようになり、エンジョイするには余生が長すぎ、第2の人生として高齢者も社会貢献していくことを考えないと、国の経済が持たなくなってしまったのです。いま私の住む田舎で新しく建つ大きなビルといえば、老人ホームか介護施設です。無駄に建てているとは思いませんが、もっと高齢者が社会のために頑張れるような施設も作れないものかと考えたりします。私たちが進める「エコの環」は、生ごみの堆肥づくりから野菜の栽培、その販売、調理加工、いずれをとっても高齢者に大きな負担となるものはなく、むしろ非常に意義のある社会貢献策であり、こうした仕組みがこれからの社会には絶対に必要になると考えます。私たちが「エコの環」づくりを始めてから2年半が経ちます。まだまだ問題が多く試行錯誤を続けていますが、しかし今年の下半期から京都府と協働事業「ちーたび」を始めることができ、私たちの活動を広く知ってもらう足掛かりができました。また、宮津市とやはり下半期から「ピンと活き生き宮津ライフ」という活動で、高齢者の健康維持、事業の創出など、「エコの環」が目指す内容を具現化させる運動を始めることができました。これらは今年の大きな成果であったと考えています。
 私たちは天橋立の内海、阿蘇海の環境を取り戻すのが目的の団体です。しかし阿蘇海のへどろから多用性のあるゼオライトが作れたといっても、それだけでは需要は生まれません。そこで地元での大量消費を狙って、次にゼオライトを使った「生ごみの堆肥化」に挑戦しました。そして生ごみ堆肥のみによる野菜づくりに挑戦し、次にその野菜の販売に挑戦し、気が付けば人工ゼオライトの合成に成功してから、いまの「エコの環」という全く想像もしていなかったシステムにたどり着くまでに、10年という歳月が流れていました。この間、土壌微生物、作物の栽培、健康問題、高齢者問題などについてもいろいろ勉強し、いまでは「エコの環」は成し遂げるべき事業であると、自信を持って言えるようになりました。「エコの環」で高齢者が元気になり、現役世代・年少世代に負担をかけないよう頑張ることが、地域の健康づくり、阿蘇海の環境の自然修復につながっていくようなシステムを、一刻も早く作りたいと願っています。  -それではよいお年をお迎えください。-
おいしい野菜を食べて、美しい阿蘇海を!

2014年12月12日金曜日

アミノ酸(つづき)

 私たちの身体はご存じのように主にタンパク質から作られています。タンパク質は22種類のアミノ酸がさまざまに結合して作られますが、アミノ酸そのものはほとんどが体内で必要に応じて作られます。しかし体内で合成できないものが8種類あり、それらは必須アミノ酸として体外から補ってやる必要があります。ところでいまほとんどの加工食品に添加されている化学調味料(アミノ酸)ですが、これは必須アミノ酸ではありません。したがってあえて摂る必要はないのですが、「うま味」成分として、また、悪く言えば「依存症」にするために添加されます。一度、化学調味料の味に慣れると止められなくなるからです。ラーメン屋の前に行列ができたり、スナック菓子が止められないのも、依存症によるところが大きいのです。

加工食品の原材料表示
日本で開発されたこの化学調味料アミノ酸ですが、あるアンケート調査によると、化学調味料を使っている家庭とそうでない家庭を比較すると、前者の家庭の子供たちに「いつもイライラする」、「カーとなりやすい」などの傾向が強く見られるといいます。化学調味料には神経興奮毒性があるためで、脳や神経系に深く静かに影響を与える傾向があり、特に脳を保護する「脳関門」(脳に必要な物質以外は到達しないようにブロックする障壁)が十分に発達していない3歳未満の幼児では、脳に異常を起こす恐れがあると云います。アメリカでは「中華料理店症候群」といって、化学調味料を多用する中華料理レストランで、特に女性や酒の弱い人たちに料理を食べた数十分後に、後頭部や手足のしびれ、顔面の灼熱感、目まい、吐き気、動悸などを訴える人々が続出し、その安全性が疑問視されるようになりました。そしてその後の研究から化学調味料の過剰摂取に警告が出され、ベビーフードには使用禁止令が出されました。また、妊婦が化学調味料を多量摂取すると、母体のグルタミン酸が胎児に移行して死亡率が高くなったり、先天性奇形が発生しやすくなるともいわれ、老人や幼児でショック死を起こした例もあるといいますから、あまり気軽に摂取するべきものとは思われません。
 化学調味料を加熱した実験では「変異原性」といって、細胞に突然変異を起こさせる作用が現れ、特に油などと一緒に加熱するとそうした作用が一層強く現れるといいます。つまり肉に化学調味料入りのタレやソースを塗って焼いたり、化学調味料入りのものを油で炒めたり揚げたりすると、強い発がん性物質が生まれやすくなるというのです。化学調味料入りのスナック菓子には油で揚げたものが多く、だから子どもに多く与えることには注意が必要といえます。
 一方で化学調味料のグルタミン酸ナトリウムは、食塩と同じナトリウム成分を含んでいます。しかし塩辛さを感じさせないので、同時に醤油を使ったりすると知らぬ間に塩分の取り過ぎになるので、その点でも注意が必要です。いずれにしても私たちの身体の元となる料理は、化学調味料によるごまかしの味ではなく、本来の「出汁」を使った味を楽しみながら食べたいものです。


2014年12月3日水曜日

ちーたび(つづき)

 去る11月27日(木)に京都府との協同事業「ちーたび」の第一回目を実施しました。「美味しい野菜を食べて 美しい阿蘇海を! ~「エコの環」を歩く~」というイベント名のもと、ゼオライトを使った生ごみの堆肥化法、生ごみ堆肥で育てた野菜畑、そして阿蘇海を見学後、地産地消の店「すゞ菜」で「エコの環」野菜を使ったランチを食べるという内容です。12名の参加者募集には300枚のチラシをあちこちに置いたり、アースガーデンみやづ2014で配布したり、京都府、宮津市の広報、民間の情報紙などに広告をお願いしました。そして何とか12名(含京都府関係者2名)の参加者を集め実施できました。しかし参加者を見るとそうしたチラシ、広告によるものより、個人的な勧誘による人が多く、しかも舞鶴市、京丹後市など近隣市町からの参加者がほとんどで、肝心の宮津市からはわずか1名の参加でした。なかなか人集めが大変なことを思い知りました。

生ごみ処理の様子
当日は前日までの雨も上がり、日が差す絶好の陽気となりました。まず、集合場所の岩滝口駅近くにあるすゞ菜さんの堆肥小屋に案内し、阿蘇海のへどろから合成可能なゼオライトという粘土を発酵材に使う、私たち独自の生ごみ処理法(宮津方式)を紹介しました。生ごみ堆肥化に関心のある参加者が多く、多くの質問を受けながら熱心に説明を聞いてもらいました。
 次は生ごみ堆肥だけで野菜を育てている畑に案内し、栽培者から苦労話しを聞きました。この畑は生ごみ堆肥を使い始めてから2年ほどしか経っておらず、まだ土作りが十分に出来ているとは言えませんが、害虫対策の質問にネットで対策しているが被害は大きいという回答でした。土作りがもっと進めば害虫被害も治まってくると考えられます。この後は皆さんに大根の引き抜き体験をしてもらい、それを土産として持って歩いてもらいました。しかしそれが案外と重くて負担になったことから、急遽、軽トラで運ぶことになりました。

阿蘇海の環境問題を説明
次に近くの阿蘇海海岸に案内し、海を間近に見ながら阿蘇海の環境について説明をしました。ほんの30数年前まで金樽いわしの良い漁場であった海が、いまは水深8mの海の4m以深は無酸素・無生物状態に有り、漁獲量は貝類以外はほとんどゼロに等しく、また、遊泳は禁止され、渡り鳥も減っているという話しに、皆さん熱心に耳を傾けてくれました。
 この後はすゞ菜に向け約1.5kmをひたすら歩き、腹ごなしの運動をしてもらいました。そしてすゞ菜では16種類の「エコの環」野菜を使ったランチを食べながら、女将から食材・調味料にこだわった料理の説明を受けました。ランチは大好評で、皆さん営業日・営業時間を熱心に聞いておられました(営業:水~土曜日、11:30~14:00)。

「エコの環」野菜を使ったランチ
食後は13時からコーヒー・デザートを頂きながら交流会を行いました。まず、私たちの活動内容・目指すところをスライドで説明した後、多くの質問・提案を受けながら、なぜ美味しい野菜を食べると美しい阿蘇海が取り戻せるのか、環境・少子高齢社会・健康などの諸問題を絡めながら熱心に話し合いました。そして議論の尽きぬなか、予定の14:00を大分回ったところで散会としました。
 今回のちーたびで皆さんには、「エコの環」野菜の良さをよく理解して頂きましたが、「どこで買えるのか?」とズバリ問われても、野菜生産量に限りがある現状では、まだ所定の販売店、販売ルートが十分に確立されておらず、即答できないのが残念でした。
 次回は2015年の1月22日(木)に、天橋立のすばらしい眺望を眼下に収める「玄妙庵」で、「エコの環」野菜の料理を食べながら実施する予定です。参加費:6,000円、募集人員:20名です。ご参加をお待ちしています。