2012年9月25日火曜日

自然界の共生

イノシシ・鹿よけフェンス
先日コメリで、生ごみ堆肥で野菜づくりをお願いしている人にバッタリ会いました。先方は何かを真剣に探しておられ、こちらが呼びかけるまで全く気付かれませんでした。聞くと「モグラが出て困っている」とか。そういえばこれまでにも生ごみ堆肥で野菜づくりをしている人達から、「モグラ対策のいい手はないか」とよく相談されていたことを思い出しました。農業は素人同然のこちらに妙案があるわけがなく、「探しておきます」とこれまでやり過ごしてきましたが、生ごみ堆肥を入れた畑は段々と土の色が黒く変色してくることを思うと、地下の生態系が元気になり、それがモグラを呼び寄せるのかとふと考え込んでしまいました。我々が住む地域の畑は、近くに民家があってもイノシシとか鹿に荒らされる被害が多く、それを防ぐ囲いが絶対に必要で、なかには要塞にも似た囲いが見られます。自然環境を守るには動植物との共生が大切といわれますが、それはお互いの厳しい生存競争の上に成り立つ共生であることを思い知った次第です。
  いま日本は隣国の中国、韓国と領土をめぐり緊張状態が続いています。中国とは国交回復40周年の式典も見送られる始末です。国と国との友好も決してハッピーなことだけで築けるものではなく、厳しい緊張関係の上に築かれるものなのでしょう。


2012年9月5日水曜日

中長期計画

  「エコの環」づくりには3ヶ年の実行計画を作っていましたが、ステップ3の第三者認証の審査を受けたとき、もっとしっかりした中長期計画を作り、広く公表した方がよいとのアドバイスを受け、基本方針なども掲げた5ページにわたる計画を策定しました。下表はその一部で、「エコの環」づくりの展開イメージを示しています。
  現状は3台の”たいぞう君”で月に300kgの生ごみを処理し、できた堆肥を野菜栽培者3人に無償で渡して野菜を作り、地元で販売していますが、それを4年後に7台の”たいぞう君”で月に840kgの生ごみを処理し、8人の野菜栽培者により野菜販売額を月に30万円に伸ばし、事業の自立をまず図ります。その後他の地区への水平展開を図りながら地元では引き続き事業の拡大を進め、10年のちに地元の生ごみを全量処理(8,250kg/月)し、野菜の販売額を月に300万円にまで伸ばして、高齢者を中心に30人ほどの雇用の創出を図ろうとするものです。

「エコの環」づくり中長期計画の概要

2012年9月3日月曜日

へどろヒートポンプのその後

  へどろの優れた吸湿/放湿特性を利用すれば、水を冷媒に太陽熱をお湯として回収するヒートポンプが作れます。下図は最近行った実験結果の一例です。銅板(460×230×0.5)に銅パイプ(Φ22×0.5t)を溶接して白昼の太陽の下にさらし、十分温度の上がった時に銅パイプの中に水を滴下します。この水の滴下には病院で使用する点滴装置を利用します。すると水はすぐに蒸発するので、この蒸気をへどろに誘導、吸着させます。このときへどろは吸着熱で熱くなるので、これを冷水もしくはエアコンの排気扇で冷却してやると蒸気の吸着が促進され、パイプ中に滴下した水はどんどん蒸発してパイプの熱を奪うため、銅板の温度(青色)は何もしない銅板の温度(赤色)に比べ、20℃ほど下がります。この技術を真夏の建屋、道路などの熱回収に利用できないか考えています。

ヒートポンプの実験結果

2012年8月24日金曜日

ステップ3に昇格

  いま京都府下には約1,200のNPO法人があるそうです。そして情報公開などを参考にきょうとNPOセンターがそれら法人をランク付けし、164法人がステップ1に、91法人がステップ2にランクされています。
  NPO法人にとって寄付・助成金などの援助をお願いする際には、その組織および活動内容が十分に信頼できることを知ってもらうことは大切で、上記のランクも一つの目安になります。しかしもっと社会的な評価・認証を得るには、もう1 ランク上の、最高位のステップ3の認証を得ることが求められます。それには「京都発」で「全国初」である、一般財団法人社会的認証開発推進機構の訪問審査を受ける必要があり、かねてこの審査を受けていました(6/29)。そしてこの度ステップ3の第三者認証を取得することができました(8/10)。この社会的認証システムはまだ京都府下だけの限定的広がりのようですが、京都府下のステップ3を取得したNPO法人はいまのところ21法人で、全体の2%弱とのこと。我々の組織、活動がそうした社会的評価を受けたことは、大変誇らしくうれしいことでありますが、反面それだけ社会的責任が生まれたことであり、一層気を引き締めて頑張っていかねばと考えています。
ステップ3の第三者認証証

2012年7月28日土曜日

エクセルの威力


我々の活動の収入源となる野菜の販売額は、4月;4,210円、5月;12,260円、6月;14,430円、7月;14,250円と、まだまだ微々たる額に留まっています。その理由として、出荷できる野菜栽培者がいまのところ3人で、野菜の種類、量が全然少ないこと、また、品数が限定的のため宣伝もできないことが挙げられます。もちろん野菜栽培者を増やしてもいますが、いままで化学肥料・農薬を使ってきた畑で、いきなり生ごみ堆肥だけで野菜をといっても、なかなか難しいところがあり、やはり「土つくりに3年」といった時間も必要になってきます。いまはただ存在を知ってもらうために、細く長く、販売活動を続けていくしかないのかも知れません。
  ところでこの野菜の販売ですが、お店屋さんから販売代金を受け取り、手数料を支払うためには野菜の出荷明細が必要となります。また野菜栽培者に代金を支払うためには、野菜の販売明細が必要になります。今はまだお店屋さんが2軒、野菜栽培者が3人で、月に1万円そこそこの取引きですが、これでも月末の金銭収支合せは大変です。これ以上数量、扱い額が増えてきたら正直どうしようというのがずっと頭痛の種でした。そんな時書店でエクセルを使って台帳を作り、ピボットテーブルを使えば簡単に明細書が作れることを知りました。そこで今月からさっそく台帳作りを始めました。日付、店舗、野菜、農家、販売価格、販売数を打ち込めば、あとは販売額、店舗・農家への支払額、我々の受取分を思い通りに計算し、ピボットテーブルを使えば店舗が何軒になろうと、野菜栽培者が何人になろうと、明細書を瞬時に作ってくれます。改めてエクセルの威力に驚いているところです。
お店への出荷明細書



2012年7月4日水曜日

生ごみ堆肥のつくり方

撹拌機
きょうは大型生ごみ処理機「たいぞう君」による、生ごみ堆肥の作り方について紹介します。我々独自の宮津方式です。宮津市須津8番組では、毎朝8時半ごろ主婦たちが生ごみを持ち寄り、生ごみの堆肥化処理を行っています。①生ごみを投入する前に手動の攪拌機(右上写真;耕耘機の羽根を利用)を回し、生ごみの入った土をよく撹拌します。②「たいぞう君」の上蓋を閉めて半回転(天地逆転)し、それまで底にあった蓋を開け、再度撹拌機を回して土をよく撹拌します。③持ち寄った生ごみを投入(右下写真)し、市販の天然ゼオライトを5%振りかけ、撹拌機を回して生ごみと天然ゼオライトを土によく混ぜ込みます。④「たいぞう君」の上蓋を開けたまま箱にシーツ、あるいは毛布を掛け、翌日まで放置します。以上です。上蓋を開けたままにするのは、生ごみが発酵分解するときキログラム当たり700~750mlもの水が蒸発するからです。シーツや毛布を掛けるのは、特に冬場に蒸気が土に凝結するのを防ぐためです。消臭効果もあり防虫に有効です。
撹拌後の生ごみ投入
発酵分解には外気温度もさることながら、生ごみ量(エネルギー源)の影響が大きいといえます。「たいぞう君」(内容積;180リットル)への生ごみ量が日に4~5キロまでなら、真夜中に量に応じた最高温度(40~60℃)に達した後、翌朝に向け温度は降下します。しかし生ごみ量が6~7キロと多くなると、温度は翌朝まで上昇し続け(70℃以上)、臭いが問題になったり、冬場は土をべとつかせる原因になります。
  10日~2週間に1度、篩を使って生ごみ分解物を取り出し、発泡スチロール箱で1か月ほど2次養生すると、生ごみ堆肥として元肥、追肥に使用できます。得られる堆肥の量は生ごみ量の25%ほどです。

2012年6月21日木曜日

野菜シール

収穫したナス、ピーマン
隣組のナス、ピーマンが今夏初めて取れ、初出荷しました。大きさ、色つやとも申し分なく、これが生ごみ堆肥だけで育ったものかと思うと、毎度のことながら感激します。
  今回から野菜袋にシールを張ってみました。「生ごみ堆肥で無農薬栽培 ブルーシー畑の健康野菜」というものです。「ブルーシー畑」とは我々の生ごみ堆肥だけで、化学肥料も農薬も一切使用していない畑を意味し、今後こうした畑がアチコチにできることを願っています。また、「健康野菜」とは土の力だけで元気に育った野菜を意味し、ハウスで化学肥料を使って育てられた一般的野菜に比べ、ビタミン・ミネラルはもちろん、生理活性物質が豊富であると考えられます(吉田俊道;いのち輝く元気野菜のひみつ、大地といのちの会)。「健康野菜」にはいま一つ、硝酸塩が少ないことも意味したいと考えています。いまの日本の野菜、特に化学肥料でハウス促成栽培させたものには、危険といえるほど硝酸塩の多い(苦味、エグ味のある)ものがあると云います(河野武平;野菜が糖尿病をひきおこす、宝島社新書)。日本にはまだ硝酸塩に対する規制はありませんが、何とかこれの少ない安全な野菜を育てたいと、EUの規制値(<2,500mg/kg)を参考に、我々も硝酸塩の測定(堀場製作所;twinNO3-)を行っています。硝酸塩は葉もの野菜や、根菜類に多いと云われ、我々のブルーシー畑でも新しい畑で生ごみ堆肥を多く入れたときや、曇天が続いたようなときには、これら野菜に規制値を超えるものが出来ることを経験しており、今後は生ごみ堆肥をどの程度畑に入れたらよいか、また、どのように土に混ぜ込んだらよいかが課題と考えています。硝酸塩についてはいずれ機会を見つけ、報告したいと考えています。
シールを張って売りに出した野菜